第9回AIに政治を任せる? 「データ教」の不気味さ、人生の最適解とは

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黒田健朗 近藤康太郎
現代社会が抱えるテーマを取り上げ、それぞれの方々のよりどころをお伝えする企画です
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 家の中や街で発せられた言葉、表情、心拍数などあらゆる情報をインターネットや監視カメラで吸い上げる。無数の民意データを集め、民衆が何を重視しているかを探る。そのうえで、GDPや失業率、健康寿命といった目標を考慮に入れながら、アルゴリズム(計算手順)が最適な政策を選択する。

 経済学者、成田悠輔さんは2022年に出した著書「22世紀の民主主義」(SB新書)でそんな「無意識データ民主主義」を主張した。かつてのディストピア小説と見まごう過激な設定だが、政治不信が高まるなか、7刷り23万部とよく売れた。

 現実世界でも、AIに政治を任せればよいと考える人は実在する。

 松田道人さん(49)は、「人工知能が日本を変える党」(AI党)を率いている。自身も、2018年と22年、東京都多摩市長選に、政策をAIに委ねる「AI市長」を掲げて立候補した。

 政治や行政の分野でも、人々のよりどころになりつつあるAI。「AIによるソフトな強制」や「人生の最適解」について考えます。

 「民主主義は機能していない…

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この記事を書いた人
黒田健朗
経済部|総務省担当
専門・関心分野
漫画、アニメ、放送
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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2023年1月5日16時45分 投稿
    【視点】

    データやAIを政策づくりに活用できる余地は確かに大きい。感覚的な議論でものが決まったり、声の大きい人、力の強い人の意見でものが決まったりするといった意思決定の不条理を、相当程度緩和できる可能性があると思う。 一方でAIが万能かというと

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