水草とヨシ原の多様性① ビワハツ 琵琶湖博物館研究だより
皆さんは、外来種のオオバナミズキンバイやナガエツルノゲイトウが湖岸で繁茂して、人力や重機で駆除されるニュースを目にしたことはありませんか。台風で水中の「藻」が大量に湖岸に打ち上げられて悪臭がするとか、船のスクリューに巻きついて航路の除草が必要になったとか、聞いたことはありませんか。
あるいは、長年人々を楽しませてきたハスの大群落(草津市・赤野井湾)が、2010年代半ばに消えてしまったことは記憶にありませんか。これらは全て、琵琶湖の水草の話です。
琵琶湖は、日本有数の水草の生育地です。国立環境研究所の研究者(キム・ジユン氏と西廣淳氏)が、日本の湖沼の水草の種類数などのデータを用いて、環境との関係や変化を解析した結果を2020年に発表しました。
その中で、琵琶湖の水草の種類数は1960年代に比べると減ってはいるものの、2000年代でも依然として日本で最も多いとされています。これは、実際に琵琶湖で水草の調査をしていて様々な場所の湖岸で実感することです。
琵琶湖の水草は既に絶えて確認できないものも含めて、これまでに80種類以上が記録されています。この種類数の多さは、主に生育環境(地形、水質等)の多様さによるものです。
琵琶湖は日本最大の湖であり、その湖岸線は長く(約235キロ)、形も複雑です。湖岸には水泳場にもなる砂浜、琵琶湖の北の方で目立つ岩礁帯、ヨシやヤナギが茂る湖岸、治水や利水のための人工湖岸などいくつもの種類があり、このような湖岸の形状と流入河川や内湖等の組み合わせ、湖水の流れや底質により、様々な「場」が形成され、それぞれに適応した水草が生育しています。
現在でも琵琶湖は水草の宝庫なのですが、一方で内湖の干拓や護岸工事等による湖岸改変が進み、1960年代の頃とは水草の生育環境が大きく変わってしまいました。
また、外来種の侵入などにより、在来の水草の生育場所が奪われる事態も多発しています。人の関わり方も含めて、変わりゆく琵琶湖の水草についていま一度見つめなおす時期にさしかかっているようです。
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