政府、歳出総額114兆円の予算を閣議決定 防衛費の増額で過去最大

岸田政権

西尾邦明
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 政府は23日、一般会計の歳出総額が114兆3812億円となる2023年度当初予算案を閣議決定した。防衛費の歴史的増額により、11年連続で過去最大となった。税収は過去最高を見込むが、建設国債を艦船建造など防衛費に戦後初めて使うなど、借金体質から抜け出せていない。

 歳出面では前年度当初予算より6兆7848億円増と大幅に伸びた。当初予算の歳出が100兆円を超すのは5年連続。8月末の各省庁の概算要求の総額は110兆円だったが、金額を示さない事項要求が多く、それを上回る異例の額となった。

 主な要因は、岸田政権が進める防衛力の抜本強化の関連経費だ。防衛費(米軍再編経費など含む)は6兆8219億円で、前年から1兆4214億円増えた。加えて、政府は複数年度にまたがって使える「防衛力強化資金」を新設する。特別会計の剰余金などから23年度の防衛費分を除く3兆3806億円を一般会計の防衛資金に繰り入れる。

 歳出の3分の1を占める社会保障費は1・7%増の36兆8889億円で過去最高となった。コロナや物価高、ウクライナ情勢の対策で使える予備費は、前年度と同程度の計5兆円を計上した。借金の元利払いにあてる国債費は残高の増加に伴い、3・7%増の25兆2503億円で3年連続で過去最大となった。

 一方の歳入では、堅調な企業業績や物価高を受け、税収が69兆4400億円と過去最高を見込む。ただ、借金なしでは歳出をまかなえず、新たに国債35兆6230億円を発行する。このうち、隊舎など自衛隊施設や艦船など一部防衛装備品の関連経費に、建設国債4343億円をあてる。政府はこれまで、戦前に戦時国債で軍事費を拡大した教訓から防衛費には建設国債を認めてこなかったが、歴史的転換となる。(西尾邦明)

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