死刑執行を前日に告げたら自死「当日告知に改めた」 訴訟で国側説明

松浦祥子
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 死刑執行を巡り、国が死刑囚に対し、当日に執行を告知している運用は憲法に違反するなどとして、死刑囚2人が国に損害賠償を求めている訴訟の弁論が22日、大阪地裁であった。国側は、前日に告知した死刑囚が自死したケースがあったとし、「自死事例を受けて当日告知に改めた」と運用変更の理由を説明した。

 原告側は、元検事や元死刑囚の著書などをもとに、前日までに告知していたケースが1970年代半ばまでに少なくとも数例あると主張。当日告知に変わった現在の運用では、死刑囚が不服申し立てや、親族らと面会するなどの時間的余裕がなく「適正な手続きによらなければ刑罰を科されないことを定めた憲法31条に違反する」と訴えている。

 国側は、死刑囚が自死した事例を挙げ「前日の告知によって心情が不安定となり、自死・自傷を図るリスクが現実化した」と反論。告知をしていない別の死刑囚が自死した事例もあるとし「死刑囚の自死を防ぐには、常に挙動を確認する必要がある。その確認によって、より一層、死刑囚の心情の安定が害される可能性もある」などとした。

 原告側は国側に対し、告知を受けて自死した事例の詳細を明らかにすることや、告知の運用を変えた理由を詳しく説明することなどを求めた。(松浦祥子)

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