第2回「できるならどこでも」 よみがえる幻の原発、建て替えの有力候補に

有料記事原発回帰の行方

佐藤常敬 小田健司 野口陽
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連載「原発回帰の行方」②

 「幻の原発」はよみがえるのか。

 日本海に突き出た福井県敦賀半島。上空のヘリから見ると、西側の小さな湾の出口に円筒型の建物が3基並んでいる。関西電力美浜原発だ。

 1号機は1970年の大阪万博に電気を送った関電初の原子炉で、いまは隣の2号機とともに廃炉作業が進む。やや大型の3号機は昨年6月、国内で初めて運転40年を超えた老朽原発として再稼働した。

 その北側に標高300メートルほどの山がある。

 一部は白い山肌が露出し、造成地や道のようなものも見える。地元の美浜町議は証言する。

 「山の海側を削って原発を造ると関電から聞いた」

 原発の老朽化が進む関電にとって新規建設は悲願だった。一帯でボーリングや生態系の調査が始まったのは2010年11月。だがその矢先に東京電力福島第一原発の事故が起き、「4号機」の計画は中断した。

 あれから12年――。

 「時が止まり、いまは見る影もない」。今年9月、地元入りした稲田朋美自民党政調会長は、報道陣にこう語った。

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 岸田文雄首相の指示から4カ月で、東京電力福島第一原発事故後に堅持してきた政府の原発政策は大転換した。この間、「幻の原発」をめぐって何が起きていたのか。

息を吹き返した推進派

 原発推進派による自民党の議…

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