使い込み、混浴…元官僚社長に募る不信 まるで「半沢直樹」の解任劇

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大平要

 売上高2千億円を超す東証プライム上場企業の社長が、いきなり解任された。会社の経費を使い込んだ疑いや、会社施設で女性コンパニオンと混浴を繰り返したことが「品位に欠ける」という理由からだ。会社は今月、外部有識者による特別調査委員会がまとめた約180ページの報告書を公表した。そこには、長年君臨してきた元官僚のトップを追放しようと、幹部たちがひそかに策を講じてきた様子が、人気ドラマ「半沢直樹」のように生々しく描かれていた。

舞台は結婚式場

 プロパンガスやケーブルテレビ事業を手がけるTOKAIホールディングス(本社・静岡市)の取締役会は緊迫していた。

 時は9月15日午前。市内で最も背が高い、地上25階建ての葵タワーでTOKAIグループが運営する結婚式場「グランディエール ブケトーカイ」の一室が、解任劇の舞台となった。

 出席者は取締役9人と監査役4人。社外監査役のうち2人はオンラインでの参加だった。

 報告書によると、動議が発せられたのは、もともと予定していた人事の議案などの承認が済んだ時だった。経営管理本部長を務める中村俊則常務(53)が発言を求め、鴇田勝彦社長(77)を「代表取締役から解職する」との動議を提案した。鴇田氏をのぞく「社内取締役5人全員の共同提案」だという。

 中村氏は議長の交代や、動議について「特別利害関係人」となる鴇田氏の退席、弁護士の同席を求めた。提案者に加え、同志社大教授で社外取締役の河島伸子氏(60)が賛意を示したことで、鴇田氏に代わって議長に就いた小栗勝男取締役(63)が動議の審議開始を宣言する。鴇田氏は議場から退席して、施設内の別室へ移動した。

 取締役会での中村氏の説明などによると、鴇田氏を解職すべきだとする理由は、主に2点あった。

 1点目は経費の不適切使用だ…

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この記事を書いた人
大平要
経済部|名古屋駐在

企業経営、働き方、地方創生、産業政策

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    江渕崇
    (朝日新聞経済部次長=日米欧の経済全般)
    2022年12月22日12時49分 投稿
    【視点】

     デスクワークを担当しました。社長を解職された鴇田氏、あるいは報酬がそんなに安かったのだろうかと思い、有価証券報告書で調べてみたところ、22年3月期の報酬は2億500万円(子会社からの報酬含む)でした。  特定企業の取締役会内の攻防が、こ

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