外苑イチョウの根の調査「負荷が大きい」 日本イコモスが見直し要請

土舘聡一

 明治神宮外苑地区の再開発に伴う樹木の伐採をめぐり、文化遺産保存の専門家らでつくる日本イコモス国内委員会は19日、イチョウの根を調査する手法の見直しなどを求める要請を、都や事業者側に行った。同日に都庁で会見し、事業者側が提案する調査手法では、イチョウに負荷がかかると主張した。

 日本イコモスによると、外苑のイチョウ並木近くに計画される新野球場の建設に際して、事業者側は建設がイチョウの健全な生育を妨げないかを確認する作業を計画している。具体的には今月~来年3月にイチョウの根の調査を実施し、その結果次第では、イチョウの一部を切る「細根切断」や、皮の一部をはぐ「環状剝皮(はくひ)」と呼ばれる手法を、その後の作業に用いる方針だという。

 会見に同席した、樹木や造園に詳しい東京農大の浜野周泰客員教授によると、こうした手法は、一般的には樹木を移植する際に用いられるもので、現状保存の目的では使わないという。浜野氏は「健康状態が悪いイチョウには負荷が大きく、生理的バランスが崩れる恐れがある」と指摘した。

 日本イコモスは要請の中で、樹木の根系図をつくって土壌を調べるなど別の調査方法を検討するよう求めた。また、事業者との現地調査を来月中に実施することや、環境影響評価審議会の再審などの実施も求めた。

 事業を手がける三井不動産は、根の調査は年明け以降に実施の予定で、「最初から環状剝皮を行うという予定はない。調査手法については検討中」と話している。(土舘聡一)…

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