政府の安全保障関連3文書の骨子案が判明した。「敵基地攻撃能力(反撃能力)」に加え、「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」も新たに打ち出した。同盟国・米国とのさらなる連携強化が念頭にあり、日米が役割分担してきた「盾と矛」の関係が変わりそうだ。

政府骨子案「必要最小限度の自衛」

 敵基地攻撃は「自衛の範囲内」としつつ、歴代の政権は、その能力の保有を見送ってきた。政府はどのような理屈で保有し、どう行使しようとしているのか。

 政府は9日にあった自民党の会合で安保関連3文書の骨子案を説明した。関係者によると、敵基地攻撃能力の定義について、「我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置」とした。

 敵基地攻撃は1956年に鳩山一郎内閣が「自衛の範囲に含まれる」と答弁しており、歴代政権は引き継いできた。その答弁ラインに沿った表現といえる。

 さらに、「相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力」とも説明した。

 「スタンド・オフ防衛能力」とは、長射程ミサイルを指す。具体的には現在改良中の国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」や、米国製巡航ミサイル「トマホーク」が念頭にある。このほか、現在開発中の「島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾」や「極超音速誘導弾」について、将来的には2千~3千キロに射程を延ばす方針。専用部隊を作る構想も盛り込む。

「先制攻撃は許されない」 改めて明記

 ただ、敵基地攻撃の能力を保有することは専守防衛の変質につながらないのか。国際法違反になる先制攻撃にならないのか。

 骨子案では、「憲法及び国際法…

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