運賃9%値上げ 並行在来線の経営計画策定
山田健悟
2024年春予定の北陸新幹線の延伸に伴い、IRいしかわ鉄道(金沢市)が運営する金沢駅以西の並行在来線について、運賃の引き上げなどが盛り込まれた経営計画が11月30日、石川県や経済団体などからなる検討会で了承された。
経営計画によると、経営安定化のため、最終的な運賃を平均約14%引き上げる方針。5年間は家計への影響を考慮し、約9%の値上げに抑えるという。
値上げの背景にあるのは、経営環境悪化への懸念だ。石川県が2019年度に出した試算では、延伸後の10年間の累計で約87億円の赤字だった。今回の経営計画案では、業務体制の見直しやJR西日本からの資産譲渡で、約61億円分の赤字を圧縮できたが、それでも約42億円の赤字となる。
県や市町による補てんを加えても、約25億円の赤字。利便性確保のため、普通列車の本数は維持する方針だが、無人駅が増えたり、運賃が上がったりすることによる利用者の負担増は避けられない。
馳浩知事は「駅に人が集まる仕掛けなど、工夫をしていかなければならない。運行の安全を守ると同時に、居心地の良さ、使い勝手の良さを追求していく必要がある」と語った。
経営計画には、富山・福井両県の並行在来線事業者との連携や自転車を持ち込める「サイクルトレイン」の運行なども盛り込まれた。来春をめどに自治体や経済団体からなる協議会を設置し、具体策の検討を進めていく。