高松塚の「飛鳥美人」、顔料の3鉱物を特定 文化庁検討会で報告
清水謙司
奈良県明日香村の高松塚古墳(特別史跡、7世紀末~8世紀初め)の国宝壁画のうち、「飛鳥美人(西壁女子群像)」に使われた顔料の一部が、科学的な分析調査で明らかになった。3種類の鉱物が確認されたという。
28日に東京都内で開いた文化庁の「古墳壁画の保存活用に関する検討会」で報告があった。
高松塚古墳の壁画は石室で発見された。このうち、「飛鳥美人」の名で知られ、色鮮やかな衣装の4人の女性が描かれている西壁女子群像について、検討会の調査チームは、新たに開発された小型のX線回折装置で今年7月、顔料の特定を試みた。
その結果、スカートのような「裳(も)」の一部分や唇の赤色は辰砂(しんしゃ、シナバー)と確認された。緑色の衣部分は孔雀(くじゃく)石(マラカイト)、青色の裳部分は藍銅鉱(らんどうこう、アズライト)と分かった。これらの鉱物の使用は推定されていたが、今回の調査で科学的に裏付けることができた。
ラピスラズリは確認されず
壁画は2004年、カビなど…