ハナノキの赤、木立走るリス リニア残土処分候補地で記者がみたもの

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編集委員・伊藤智章
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 ゴルフ場から処分場候補地の山林に入ると、コナラやアカマツ、ヒノキが密生し、薄暗くなった。道もない。枯れ葉が積もり、水がわき出していて、ぬかるみに足をとられそうになる。

 「これですよ」

 同行の女性が指さしたのは、高さ20メートルほどの成木のハナノキだ。東海地方の一部にしか生息しない湿地性の希少植物。カエデの一種で真っ赤に紅葉していた。

 岐阜県御嵩(みたけ)町にあるリニア中央新幹線の工事に伴う残土の処分場候補地。希少な植物が群生する国選定の「重要湿地」も含まれるという。朝日新聞記者は11月12日、現場に入った。

 候補地は、町南東部の「美佐野地区」にある町有地(約7ヘクタール)と私有地(約16ヘクタール)。町を東西に貫く国道21号から約1・5キロ南へ下った山林だ。記者は、町内の自然環境に詳しい元町環境審議会長の岡本秀範さん(72)と元町生物環境アドバイザーの篭橋(かごはし)まゆみさん(67)が町有地で行った環境調査に同行。町にもその旨を届け出てもらった。

 町有地の南にあるゴルフ場から歩いて北に向かった。急傾斜の坂を下り、幅1メートルほどの沢沿いを歩いた先に、ハナノキが生えていた。胸の高さの周囲を2人がかりで測ったら2メートルを超えた。推定樹齢は100年を超すそうだ。

 「あれもそうですね」。篭橋…

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