北陸新幹線延伸 工事の環境影響を懸念 京都弁護士会がシンポ

原田達矢
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 北陸新幹線福井県敦賀市から大阪市まで延伸させる計画について、京都弁護士会が26日、京都市内でシンポジウムを開いた。弁護士や有識者が計画の法的な問題点や工事による環境への影響に懸念を示した。

 国は敦賀駅から京都市、京田辺市付近を通り、新大阪駅までの約140キロをつなぐことをめざす。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が現在、環境への影響をみる調査を進めている。

 シンポジウムで、森田浩輔弁護士が「現行法では事業実施が前提となって環境影響調査が進んでいる」と指摘。府内の調査でも住民に情報が開示されていないとし、説明責任を明確にすることが必要だと述べた。神戸大学の長野宇規(たかのり)准教授(農村計画)は、建設工事で出る残土処理について環境影響評価で考慮されていないと指摘した。

 政策学や地学の専門家からは、京都を通るルートに決まった理由が示されていないことや、経済的合理性が低いこと、「地下を掘るトンネル工事は難しい。地下水への影響は全く見通せない」という意見も出た。

 京都弁護士会は今年3月に国や府などに計画の再検討を求める意見書を提出。環境影響評価後には事業者であるJRTTの考えを示した「準備書」が示され、広く意見が求められる。森田弁護士は「市民から意見が出ているとアピールすることが重要だ。この問題について知ってほしい」と語った。(原田達矢)

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