実証プロジェクトの成果と課題を学ぶ 南相馬市で勉強会

荒海謙一
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 先端技術で農作業の効率化と安定生産をめざす「スマート農業」。2020年度まで水田で実証プロジェクトが行われた福島県南相馬市で10日、農業関係者らが成果を学ぶ勉強会があった。

 自動運転トラクターや直進運転を支援してくれる田植え機が走り、農薬などをまくドローンが遠隔操作で飛ぶ。収穫時に食味や収量が分かるコンバインで稲を刈る……。水田で想定されるスマート農業の姿だ。

 農業の担い手不足などに対応しようと、国は19年度からスマート農業の普及に向けた実証プロジェクトを始めた。これまでに畑作なども含めて全国205の実証地区を選定。このうち水田は47地区で、南相馬市の小高地区では19~20年度に実証が行われた。対象面積は約47ヘクタール。自動運転トラクターなどを使い、収量増や若手就農者の早期技術習得をめざした。

 勉強会では、経験の少ない就農者でもベテラン並みの効率が実現できたと報告があった。作業時間が短縮されることで、規模拡大への可能性もみえたという。ただ、収量や食味は水田ごとにばらつきがあった。県農業総合センターの担当者は「天候不順やイノシシなどの獣害による影響が大きかった」と説明した。

 担い手不足は全国的な課題だが、原発事故の被災地では営農を諦める被災農家も多く、より深刻だ。省力化を図れるスマート農業が期待される一方、高額な先端農機が経費を押し上げるといった課題もある。勉強会を主催した国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構」は、水田区画を大きくして農機を効率的に使ったり、ドローンを共同利用したりして、経費を抑える方策を紹介した。(荒海謙一)

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