運転手不在のバスがぞろぞろ…広島の公道で新技術の実証実験へ

編集委員・副島英樹
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 自動運転の技術を活用し、人が運転しているバスに運転者不在の2台のバスが連なって運行する実証実験が、来年度中にも広島県東広島市内の公道で始まる。JR西日本広島大学東広島市が22日、公共交通に関する連携協定を結んだ。

 JR西条駅と広島大キャンパス間の公共交通の強化を課題としてきた東広島市は2015年、バス専用レーン設置など新たなバス高速輸送システム(BRT)の導入案を市総合交通戦略に盛り込んでいた。

 一方、持続可能な鉄道・交通システムの構築をめざすJR西は、昨年10月からソフトバンクと共同で、BRT導入に向けた自動運転・隊列走行の実証実験を開始。滋賀県野洲市に設けたテストコースで、連節バス、大型バス、小型バスの3種を組み合わせ、先頭車両以外は無人化して研究を重ねている。通勤時間帯には隊列の車両を増やすなど、需要に応じて柔軟に組み合わせを変える形態だ。

 この実証実験の場を、来年度後半をめどに東広島市の公道に移し、実用化に近づけていくことになる。西条駅から広島大キャンパス周辺を巡って西条駅に戻る全長約12キロの運行ルートを想定している。

 この日の記者会見で高垣広徳市長は「(東広島市が)実証フィールドとして評価され、意義深い」と話し、JR西の広岡研二・広島支社長は「東広島市さんの熱い思いが大きかった。まちづくりとセットで進めたい」と語った。

 BRTを導入した場合、需要に関する研究や道路交通シミュレーションも必要になる。広島大の越智光夫学長は「大学としての専門的知見を活用し、まちづくりに貢献したい」と述べ、同大の藤原章正教授は「主要な利用者となる職員や学生も、車依存から公共交通への意識変容が必要になる」と指摘した。(編集委員・副島英樹)

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