LRT脱線事故は緊急時走行の試運転中 開業時期の変更考えず
石原剛文
【栃木】次世代型路面電車(LRT)が試運転中に脱線した事故について、宇都宮市は21日、記者会見を開き、運転ミスや車両故障、分岐点や軌道の故障は確認されていないことを明らかにした。脱線の原因は特定されておらず、今後は有識者による現場検証を実施するなどして原因究明を進める。現時点で来年8月の開業予定に変更はないという。
記者会見で佐藤栄一市長は「市民のみなさま、事業者のみなさま、関係者のみなさまに大変ご心配をおかけし、ご迷惑をおかけしましたこと、深くおわびを申し上げます」と陳謝した。
市側の説明によると、19日未明の脱線事故は、事故が発生した場合に軌道の分岐点を逆走させる緊急時走行の試運転中に起きた。分岐点を通過してカーブにさしかかった際、車両が軌道と同じ方向に曲がらないことに運転士が気づき、非常ブレーキをかけた。カーブは時速15キロ以下で曲がる決まりになっており、当時の速度は13キロだった。
事故現場では17日、時速5キロ以下で同様の緊急時走行の試運転をしたが、そのときは異常はなかった。17日以降、似た構造の別の地点でも逆走の試運転をしたが、時速5キロ以下、時速15キロ以下ともに、問題は起きなかったという。
市側は事故について、人為的ミスや故障は確認されていないものの、さまざまな事象が重なった可能性は否定できないと説明。脱線した車両が歩道まで進んだことについては、歩行者の保護の仕方など安全対策の確認を進めるとした。
21日から予定されていたブレーキなどの走行・性能試験は延期になった…