あの「神様」が自腹で寄贈した急行ヘッドマーク、開発秘話も明かす
昭和から平成にかけて、四国には「いよ」「土佐」「阿波」などの丸形ヘッドマークを掲げたディーゼル急行列車が縦横に走っていた。生みの親は鉄道界に半生を捧げ、鉄道ファンから「神様」とも呼ばれるJR東海顧問、須田寛さん(91)。千葉県の房総半島を走るいすみ鉄道を訪れると聞き、会いに行った。
11月5日、いすみ鉄道のデンタルサポート大多喜(おおたき)駅のホームはカメラを手にした鉄道ファンでごった返していた。お目当ては27日で定期運行を終える「キハ28 2346」。かつて四国各地で急行として使われた旧国鉄のディーゼル車のグループで、現在国内で営業運転する最後の1両だ。
急行として大多喜駅を発車した満員の車内では、「神様」こと須田さんの姿があることにファンが驚いていた。昭和20年代に旧国鉄に入社し、JR東海社長や会長を歴任。鉄道会社の幹部には珍しく趣味としても鉄道に愛着を持ち、鉄道友の会会長も務めた。いま公共交通機関の多くに設置されている優先席につながる「シルバーシート」や「フルムーン夫婦グリーンパス」、「青春18きっぷ」の生みの親としても知られる。
記者が高松総局員と自己紹介すると、四国の急行ヘッドマーク誕生秘話をたっぷり聞くことができた。キーワードは「四国ならでは」「本社の反対」「デザイン性」だったという。
須田さんは20代だった19…