300年ぶり、14年かけた「五百羅漢図」の修復終了 東福寺で法要
臨済宗東福寺派大本山の東福寺(京都市東山区)で15日、「五百羅漢図」の14年をかけた保存修理が終わったとして、法要が営まれた。約300年ぶりの保存修理で、羅漢図が鮮明な姿を取り戻した。
同図は、室町時代初期の臨済宗の画僧・明兆が手掛けたもので、寺にある45幅は国の重要文化財に指定されている。14世紀後半に制作され、元々は全50幅あった。大きさは絵の部分だけで高さ約170センチ、幅約90センチ。1幅に仏弟子の羅漢が10人ずつ描かれている。
保存修理は1699年以来で、明兆による45幅と江戸時代に復元された2幅の計47幅を対象に実施した。点数が多く、絵も大きいため、岡墨光堂(京都市中京区)など4社が共同で作業した。総事業費は、国や府の補助金を含め6億7千万円に上るという。
この日、午前10時から東福寺本坊・大方丈で営まれた法要では、壁とふすまを埋め尽くすように、約30幅の「五百羅漢図」がかけられた。同寺の原田融道管長を導師に、僧侶が一列になってお経を唱えた。
保存修理では、1幅ずつ絵が描かれた本紙を取り外して絵の具の剝落(はくらく)止めや補彩をし、表装や軸装も新調した。東福寺の永井慶洲・宝物殿管理室長は「傷みが激しく、修理は念願だった。ようやくできあがり、感慨深い」と話した。