「RTも名誉毀損」判断維持 伊藤詩織氏が訴えた訴訟で東京高裁

田中恭太
[PR]

 性被害を訴えたジャーナリストの伊藤詩織氏が、事実と異なるイラストをツイッターに投稿されて名誉を傷つけられたなどとして、投稿した漫画家のはすみとしこ氏と、投稿をリツイート(転載)した男性に賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、東京高裁(岩井伸晃裁判長)であった。判決は、はすみ氏に一審より増額して110万円、リツイートした男性には、一審で命じた11万円に加えて新たに11万円の支払いを命じた。

 高裁は昨年11月の一審・東京地裁判決に続き、「枕営業大失敗!!」などと書き添えたイラストを含むはすみ氏の投稿は「伊藤氏が虚偽の性被害を訴えていると示す内容で、多大な精神的苦痛を与える」と指摘。内容や多くの人に拡散された点などを考慮し、賠償額は一審の88万円から増やすのが相当とした。

 男性が投稿をリツイートした行為も「男性自身の表現行為と解するのが相当で、伊藤氏の社会的評価を低下させた」と述べ、一審の判断を維持した。男性は一審判決後に再びイラストをリツイートしており、この分の賠償として11万円を加え、計22万円の支払いを命じた。

 伊藤さんは判決後に取材に応じ、「(中傷投稿のリツイートは)誹謗(ひぼう)中傷するポスターをコピーして街に貼る行為だと思う。自分の制作物でなくても、わざわざ他の人の目にさらす行為について、こうした判決が出たのは好ましいことだ」と話した。

 一審では別の男性もリツイートをしたとして11万円の賠償を命じられていたが、控訴しなかった。

 リツイートをめぐっては、2014年と15年の東京地裁判決が「自身の発言と同様に扱われる」などとして、リツイートも投稿と同じ法的責任を負うと判断した。大阪高裁も20年、リツイートは意図や経緯を問わず法的責任が生じるとした判決を言い渡した。田中恭太

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら