ウクライナ色の電車、忘れない 「撮り鉄」の大学准教授が写真集
高松琴平電気鉄道(ことでん)がウクライナ国旗をイメージするラッピング電車を走らせて半年余り。鉄道ファンとして、この電車にカメラを向け続けてきた高松大学発達科学部の秋山達也准教授(63)=香川県多度津町=が、作品をまとめたフォトブックを作った。在日ウクライナ大使館に送り、19、20日には写真展も開く。
秋山さんは、子どもの頃からSL(蒸気機関車)が好きな「撮り鉄」。県内で小学校の教員を務めるようになっても、休日には復活したSLを追いかけて全国を回った。ただ、ことでんを撮影したことはなかったという。
ロシアのウクライナ侵攻後の4月、ことでんがウクライナの鉄道員への連帯を示す、国旗をイメージしたラッピング電車を走らせ始めた。惨状に心を痛めながら、何もできない無力感を感じていたという秋山さんは、「撮り鉄の自分だからこそ、讃岐の美しい風景の中を走る電車の写真を通して、ことでんの思いを広く伝えることができるかもしれないと考えた」という。
撮影のために土日に沿線に通い詰めた。麦畑やひまわり畑の近くを電車が走るポイントを探し回った。ウクライナと共通の風景をイメージしてとの思いからだ。
金鶏菊などの花、瓦屋根や石像など日本の風景に溶け込む電車や鉄道員、利用者の姿にもカメラを向けた。約4カ月間に撮影した130点をフォトブックにまとめ、今月初め、ウクライナ大使館に送った。
ことでんは、この電車の運行を11月中旬で終了すると決めている。秋山さんは「撮影を通して、自由と平和を求めて戦うウクライナ、戦地での鉄道従事者に連帯を示したことでんを忘れない、との思いが強くなった」と話した。主に風景と電車を写した1冊目に続き、主に人と電車を写した2冊目のフォトブックも刊行の予定だ。
フォトブックは非売品。写真展は19、20日、高松市春日町の高松大・高松短大の大学祭で開く。フォトブックの写真を引き伸ばして展示する。午前10時~午後3時半。入場無料。