宗教法人への質問権めぐる文化庁の基準案 有識者会議が了承

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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への「報告徴収・質問権」について議論している文化庁の有識者会議が8日開かれた。宗教法人にどんな問題があればこの権限に基づく調査ができるか、文化庁が一般的な基準案を委員に示し、了承された。今後、具体的な質問の内容を検討する手続きに入る。

 文化庁の合田哲雄次長は会議の冒頭、「この基準を踏まえ報告徴収・質問権を行使できるようになる。文化庁宗務課の態勢も強化したので、情報収集は同時並行でしっかりと行いたい」と話した。

 基準案はまず、宗教法人法憲法の定める信教の自由などの原則に従い、所轄庁による権限行使について抑制的であることを求めていると言及。質問権を行使できる場合について同法が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」疑いがあることなどを挙げている点を踏まえ、「疑いがあると判断するための一般的な基準を設けることが必要」とした。

法令違反めぐり公的機関の認定求める

 そのうえで、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」疑いがあるかを判断する根拠として、「公的機関で当該法人に属する者による法令違反や当該法人の法的責任を認める判断があること」「公的機関に対し、当該法人に属する者による法令違反に関する情報が寄せられており、それらに具体的な資料か根拠があると認められるものが含まれること」「それらと同様に疑いを認めるだけの客観的な資料、根拠があること」を挙げた。

 加えて、「著しく公共の福祉を害する」という要件に該当する疑いも必要だとして、「偶発的な法令違反、一回性の法令違反によりただちに疑いがあると判断するのは相当ではない」と指摘。「当該法人に属する者による同様の行為が相当数繰り返されている」「被害が重大である」など、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている「疑い」があると認められることが必要だとした。

 一方、同法が質問権を行使できるケースとして「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」疑いがある場合も挙げていることを踏まえ、「著しく逸脱した行為」に該当するかどうかを判断する際は、「行為の結果、影響の内容及び程度」「行為の反復性、継続性の程度」などの観点から総合的に判断したうえで、著しく逸脱した「疑い」があると認められることが必要だとした。

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