札幌五輪、理事会メンバー取引管理など検討へ 招致スローガンも決定

日浦統
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 2030年冬季五輪パラリンピックの招致を目指す日本オリンピック委員会(JOC)と札幌市は27日、東京五輪のスポンサー選定を巡る贈収賄事件を踏まえ、大会運営の透明性・公正性の確保策の具体的な検討を11月中旬から始めると発表した。今後予定される国際スポーツ大会の関係者や弁護士、公認会計士などの専門家にも参加してもらい、来年2月までに結論をとりまとめる方針。

 札幌市内で開かれた招致に関するプロモーション委員会で明らかにした。国内では25年のデフリンピック東京都での世界陸上競技選手権大会、26年の愛知県でのアジア競技大会など、国際的な競技大会が予定されている。五輪汚職で民間企業のスポーツ支援が停滞することへの懸念が、関係者の間では強まっている。

 会合の冒頭、室伏広治スポーツ庁長官は、スポーツ界全体に厳しい視線が向けられている点について「今回の事案を自分ごととして危機感をもって重く受けとめる必要がある」と語った。室伏氏も参加するスポーツ界の重要課題を協議する「スポーツ政策の推進に関する円卓会議」では、信頼回復に向けて今後の大規模な競技大会のすべてで札幌五輪同様、透明性・公正性の確保を進めて円滑な開催につなげていく方針を確認したことを紹介した。

 主な検討項目は、①組織委員会理事会のあり方②理事会メンバーの利益相反取引の管理③マーケティング事業のあり方。山下泰裕JOC会長は大会運営にあたり、「民間団体としての守秘義務公的資金の受け皿としての説明責任のバランスをどうとるかが重要だ。札幌市だけでなく、今後予定されている他の国際大会の関係者にも協力してもらう」。札幌市の秋元克広市長は「多くの国民が抱えている疑念を解消するため、市としても積極的に議論に参加していく」と語った。

 大会の招致スローガンとコンセプトも発表された。三つの候補案から1案を選ぶ投票キャンペーンで招致スローガンは「世界が驚く、冬にしよう。」に決まった。ネットや郵送で1万5千件超の応募があったという。

 大会コンセプトは「天然雪を守り、北海道・札幌から、世界に誇れる大会に。」「私が自分らしく生きられるまちで、社会で、誰もが参加できる大会に。」「北海道・札幌が挑戦する、私たちの新しい大会に。」の三つ。ともに11月に公表される大会概要案の最終案に盛り込まれる。(日浦統)

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