学校給食費の補助広がる 19市町村に、子育てしやすさアピール

西村奈緒美
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 公立小・中学校の給食費を自治体が補助する動きが新潟県内で広がっている。弥彦村はこの秋からすべての児童・生徒について全面的に無償化。対象を絞るなどして限定的に取り組んでいる18市町村と合わせ、小規模な自治体を中心に全30の6割を超えた。子ども1人につき1カ月5千~6千円ほどかかる給食費の負担を軽くし、子育てのしやすさをアピールする。

 弥彦村は9月から小学校で月5300円、保育園で月4500円(おかずのみ)の給食費全額を公費で負担。所得制限や多子世帯限定などの要件も設けていない。人口約7500人の村で対象となる児童は373人、園児は221人。今年度予算に1852万円を計上した。10月からはさらに中学校(月5365円)でも無償化。216人が対象で、今年度末までに必要な費用として718万円を見込む。

 財源は全国の村で唯一の公営競輪と、ふるさと納税だ。競輪はネット販売が好調で、収益が2014年度の600万円から21年度は8億円まで増加。ふるさと納税による寄付金額も18年度に5億円を超え、1億円を下回っていた14年度から大幅に増やした。小林豊彦村長は「自主財源が増えたので、まずは物価高で苦しむ子育て中の若い世代に還元しようと考えた」と話す。

 人口約8千人の湯沢町は対象を限定して4月から実施している。対象は小・中学生が2人以上いる世帯で、2人目以降について小学校で月5485円、中学校で月6380円の給食費を無償にした。

 町では新幹線で東京まで約80分の立地を生かし、子育て世帯をターゲットに移住・定住政策に力を入れる。田村正幸町長は3月、町議会での施政方針で「将来的には第1子を含めて完全無償化の実現を目指す」と語った。

 食材費の一部を負担する形で補助する自治体も。出雲崎町は15年4月から、給食のうちコメと牛乳の費用を公費で賄っている。1食あたりの費用(小学校318円、中学校377円)の約3割にあたるという。

 一方、離島の粟島浦村では給食を実施していない。全児童・生徒31人のうち20人が、親元を離れて島での暮らしを体験する村の移住政策「しおかぜ留学」の子どもたちで3食付きの寮に住んでおり、海が荒れる冬場に食材を安定的に仕入れるのも難しいためという。

 文部科学省が17年度に初めて実施した調査では、全国1740の自治体のうち、小・中学校とも全面無償化していたのは76(4・4%)で、7割が人口1万人未満。多子世帯やひとり親家庭に限るなどの限定的な無償化は424(24・4%)だった。PTAからの要望も少なくないといい、担当者は「近年は無償化が規模の大きな自治体にも広がりつつある」とする。(西村奈緒美)

給食費を補助する新潟県内の自治体

全面無償化

・弥彦村(2022年10月~)

限定的に補助

・出雲崎町(15年4月~)

・見附市(16年4月~)

新発田市(18年4月~)

・聖籠町(19年4月~)

・田上町(19年4月~)

阿賀町(20年4月~)

・関川村(21年4月~)

・湯沢町(22年4月~)

※このほか三条市村上市、燕市、糸魚川市妙高市阿賀野市佐渡市、魚沼市、南魚沼市胎内市の10市でも、地元産食材を使う場合の費用の一部を補助している

(各自治体への取材による)

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