水道料金、利用少ない時間帯は安く 湖西市が実証実験

佐藤英彬

 静岡県湖西市が水道料金の料金体系で、全国的にも珍しい「時間帯別料金」の導入を目指している。電力の夜間割引のように、使用量の少ない時間帯(オフピーク時)の水道料金を減額するというもの。使用量は自動で検針するスマートメーターを活用し、時間帯ごとに把握する。16日からは導入に向けて実証実験が始まった。

 実験はすでに水道スマートメーターが設置されている同市の知波田・入出地区の1890世帯を対象に、2段階に分けて実施される。まず16日から来年2月末にかけ、スマートメーターを通じて時間帯別の使用量を算出。このデータをもとに、来年6月から10月までの5カ月間、オフピーク時の水道料金を減額する。基本料金は変えず、使用量に応じて加算される単価の値下げを想定しているという。

 朝や夕方に集中する水道利用を分散させることは、水道の維持管理の面で市にもメリットがある。

 人口減を背景にした給水利用者の減少で、将来的には水道事業の収益減が見込まれている。御前崎市など県内でも一部の自治体が水道料金の値上げに踏み切るなか、湖西市も値上げを検討している。その際、「急激な料金高騰を避け、世代間の不公平感がないよう計画的な料金検討が必要」との考えもあった。

 注目したのは水道管や配水施設の更新だ。老朽化に伴い撤去や埋設などで毎年一定の費用がかかっている。現在、市内全体で約430キロメートルの水道管が整備されているが、市は今後10年間では毎年約3キロメートルの更新に4億円ほどかかると見積もる。

 そこで、時間帯別料金導入で市民のオフピーク時の水道利用を後押しすることで、全体の使用量を「平準化」する。それにより、現在の水道管の負担軽減による長寿命化や、サイズを一回り小さくするなどで更新費を抑えることができる。市民が負担する水道料金の値上げ幅の縮小にもつながるとしている。

 課題もある。導入には約2万4千の全世帯へのスマートメーター設置が急務だが、影山剛士市長は9月の会見で「初期コストもかかるため、段階的に数年かけてつけていくことになる」との見通しを示した。市民にとって魅力ある料金体系の策定も必要で、市は今回の実験で検討していきたいとしている…

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