防衛費財源に浮上する法人増税 経済界は警戒「国民全体で薄く広く」
筒井竜平
大幅な増額が確実視される防衛費の財源候補として、法人税が浮上している。政府は近年、企業の積極的な賃上げや投資を促すために法人税率を引き下げてきたのに、思うような成果が出ていないためだ。経済界は警戒を強めている。
岸田文雄首相は「防衛費の相当な増額」を表明しており、自民党は北大西洋条約機構(NATO)が目標にする国内総生産比2%以上を念頭に、5年以内の大幅増額を求める。
単純計算で新たに5兆円規模が必要になる。歳出削減で財源を捻出するには限界があり、返すあてが不明確な国債(借金)にも頼れない。このため、増税が必要になる可能性が高い。
増税で兆円単位の大規模な財源を調達するには、主要な3税(消費税、所得税、法人税)について検討せざるを得ない。しかし、社会保障を充実させるための消費税は引き上げにくい。物価高の中、個人の財布に直結する所得税は議論しにくい事情もある。
法人税率は、企業の国際競争…