「月産月消」 カギは重力にあり? 月で作物栽培挑む国内ベンチャー

有料記事

島崎周
[PR]

 月での自給自足地産地消ならぬ「月産月消」へ――。米国が主導し、有人月探査を目指す「アルテミス計画」が進められるなか、国内のベンチャー企業による月での植物や作物栽培の計画が進められている。専門家は「月面着陸の先にある未来を見据えた民間主導の取り組みで、世界的にも珍しい」と期待を寄せる。

 宇宙ビジネスコンサルティングを展開する「Digital(デジタル)Blast(ブラスト)」(東京都千代田区)が5月に開発したのは、人工で重力を発生させる装置だ。直径20センチ、幅40センチ、重さ5キロ。三つのカプセルを入れることができ、無重力環境下でそれぞれ回転速度を変えて地球と月面の重力、無重力状態をつくり出す。地球は1分間に100回転以上、重力が地球の6分の1の月は、50回転以下、無重力は回転しない。カプセル内に植物を入れ、内部にあるカメラで、それぞれが育つ経過を観察できる。

 日本神話で現れたとされる神の名前から、月面での植物栽培の実現に向けた始まりの意味を込めて、「AMAZ(アマツ)」と名付けられた。

 同社は、社長の堀口真吾さん(41)が2018年に創業。堀口さんは金融系エンジニアを経て、日本総合研究所で官公庁の宇宙産業のコンサルティングをしてきた。宇宙産業は「国の事業」のイメージが強く、民間企業が参入しにくい雰囲気があったという。米国は相次いで民間が参入するが、日本も民間市場を切り開けば大きなビジネスチャンスになると考えた。

■主要メンバーの経歴はデザイ…

この記事は有料記事です。残り1762文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません