「還暦からの発想転換」で2度目の化学賞 福岡伸一さんもときめいた

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 今年のノーベル化学賞は、2度目の受賞となる米スクリプス研究所のバリー・シャープレスさんら3人に決まった。青山学院大学教授の福岡伸一さんに解説してもらった。

 化学賞発表の直前、ノーベル財団のツイッターに私は胸がときめきました。なぜなら、マリー・キュリーさんの写真が出て、「彼女は2度ノーベル賞をとった初めての人です。彼女に続く人はだれでしょうか」と投稿されたからです。

 いざ発表されると、そこにはシャープレスさんが入っていました。彼は2001年の化学賞に続いての受賞で、2度、自然科学の分野で受賞する4人目となったのです。

 化学の最も重要な課題の一つは、人間の役に立つ化合物をつくり出すことです。しかし、そこには二つの大きなハードルがありました。

 一つ目は、生物に合う化学物質をつくることです。化学物質には、右手型と左手型があり、ヒトに代表される生物は、このうち片方しか使っていません。しかし、人工的に合成するときにはこれらを区別してつくれませんでした。これを解決してつくり分けるようにしたのが、シャープレスさん、ウィリアム・ノールズさん、野依良治さんで、01年にノーベル化学賞を受賞しました。

大胆な発想の転換

 そしてもう一つのハードルが…

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