トキよもう一度 半世紀ぶりの本州生息目指し、石川県が受け入れに熱

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山田健悟
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 淡い桃色の羽が特徴的な国の特別天然記念物「トキ」。かつては里山で見かけられたが、乱獲などにより、本州では1970年の捕獲を最後に姿を消した。それから半世紀あまり。かつての野生トキの姿を取り戻そうと、「本州最後の生息地」だった石川県が、受け入れ準備を進めている。

 8月5日。トキの保護や繁殖に取り組んできた環境省は、本州などでのトキの定着に向けた放鳥候補地として、石川県と能登地方の9市町、島根県出雲市を選定した。年内をめどに国や自治体でつくる協議会を設置。2026年度以降の放鳥を目指し、課題の整理や環境整備を進めていく。

20世紀初頭は日本や中国、朝鮮半島、ロシアなどに広く分布していたトキ。しかし、乱獲や生活環境の悪化で激減し、現在の生息地域は日本と中国だけになりました。日本では、2003年に日本産が絶滅しましたが、中国から贈られたトキを繁殖させ、08年からトキを放鳥する野生復帰事業が新潟県佐渡市で進めてられています。環境省によると生息数は約480羽で、本州では佐渡市からの飛来はありますが、生息までは確認されていません。

 トキは赤い顔に長いくちばしが特徴。1998年、レッドリストで飼育下以外での絶滅を表す「野生絶滅」に指定された。その後、新潟県・佐渡島の「佐渡トキ保護センター」で、中国産のトキによる繁殖や放鳥が行われた。

 次第に増え始め、2019年にレッドリストで「絶滅危惧ⅠA類」にランクが下がった。環境省によると、21年末時点で、野生として推定478羽が佐渡島で生息しているという。

 今回の放鳥は、佐渡島以外でも定着させることが狙いだ。環境省は今年5~6月に候補地を公募し、応募した自治体の中でも、特に石川県が熱心だった。

 公募期間中には、馳浩知事と9市町の首長らが上京し、山口壮環境相(当時)と面会。9市町が11年に先進国で初めて「世界農業遺産」に佐渡島とともに認定されたことなどを説明し、「どの地域も里山が豊かだ。トキが来るにふさわしい」などとアピール。山口氏も「経験も豊かで、土地柄も満足だと思う」と理解を示した。

 その「経験」というのは、石…

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