第1回都心に潜む限界集落 「一人勝ち」の東京、ひとごとでない高齢化の波
「一極集中」「一人勝ち」
東京23区は、よくそう称される。
高齢化が進み、コミュニティーの維持が難しくなっている地方とは対照的に、各地から人々が集まり、活気に満ちた街。そんなイメージだ。
ところが、人口のデータを分析してみると、決して例外ではない現状が見えてきた。
65歳以上の高齢者が人口に占める割合「高齢化率」が50%を超えた地域を、「限界集落」と呼ぶ。
政府が5年ごとに行う国勢調査の結果を使って、23区の町丁目単位で高齢化率の推移を調べると、2020年の調査で、約3千ある23区の町丁目のうち、限界集落は15カ所あった。
高齢者施設があれば、当然高齢化率は上がる。そうした特殊要因を排除するために、人口が500人以上の町丁目に限定すると、限界集落は9カ所だった。
最も高かったのが大田区東糀谷6丁目で、64%。00年からの20年間で、高齢化率が43.5ポイント上がっていた。
次が世田谷区大蔵3丁目で60.9%(00年の高齢化率から32ポイント増)、北区桐ケ丘1丁目で58.9%(同22.3ポイント増)と続いた。
9カ所すべて、町の大部分を都営団地が占めていた。
全国の高齢化率が20年間で17.4%から28.7%と、11.3ポイントの上昇だったのに対し、これらの地域では際立って高齢化が進んでいることがわかる。
さらに全国の高齢化率の28.7%を上回る23区の町丁目は311カ所で、全体の1割を超えた。
一般的に、高齢化が進み、限界集落になる要因は、地域外への流出者が多く、新しい世帯の流入に乏しいためだ。つまり、「新陳代謝」が進まないためだと言える。
高齢化=悪ではない 考えるべきことは
ただ、あくまで押さえておきたいのは、高齢化=悪ではない、ということだ。
地方とは異なり、人の流動性が高い東京で限界集落化するのは、「高齢者が住み続けられる」ことの裏返しでもある。
問題は、住民が高齢化してい…
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