大学生や被爆者、外務省担当者ら核軍縮を議論 廃絶国際デー

興野優平 黒田陸離

 【広島】国連が定めた「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」(9月26日)を前に、大学生や被爆者外務省の担当者らが今後の核軍縮について語るシンポジウムがあった。6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議や、8月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に合わせて現地入りした学生らが報告し、課題などを議論した。

 シンポは「核兵器廃絶日本NGO連絡会」が国際デーに向けて毎年主催。23日にオンラインで開かれた。

 伊藤茂樹・外務省軍縮不拡散・科学部審議官は「(核保有国、非保有国がともに参加する)NPTの維持が核兵器のない世界に向けた唯一の現実的な道」と日本政府の立場を主張。NPT再検討会議で最終文書が採択されず、決裂したことに「(責任は反対した)ロシアに負わされるべきで、NPTが機能不全だという指摘は全く当たらない」との認識を示した。

 また、11月に広島で開かれる国際賢人会議について「核保有国と非保有国、核禁条約の参加国、非参加国それぞれが立場を超えて知恵を出し合う」と意義を強調。「各国の現職、元職の政治リーダーの関与を得て、核兵器のない世界の実現に向けた具体的な道筋について自由闊達(かったつ)に議論することが重要だ」と話した。

 一方、日本原水爆被害者団体協議会事務局次長の和田征子さん(78)は、核禁条約について「NPT再検討会議が重ねられても進展がなかった状況から生まれたと思っている。その経過から見てもNPTと、核禁条約は互いに補完するもの」と述べ、日本政府に批准を求めた。

 二つの国際会議で現地に入った米ミドルベリー国際大学院1年の浅野英男さんは「国際社会に市民社会が声を届け続けていく重要性を感じた」と語った。

 26日には広島市中区で集会も行われた。県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(77)は「日本政府は核軍縮の先頭に立つことで、核保有国との橋渡しが可能になるのではないか。私たち被爆者は、一日でも早い核兵器の廃絶を望む」と話した…

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この記事を書いた人
興野優平
広島総局|県政担当
専門・関心分野
文芸、核、人口減少、ジェンダー