沖縄知事選で再び敗北、保守が陥るジレンマ 玉城氏再選でみえるもの

有料記事沖縄・本土復帰50年

編集委員・谷津憲郎
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 11日に投開票された沖縄県知事選は、現職の玉城デニー氏(62)が、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)と前衆院議員の下地幹郎氏(61)を大差でやぶって再選を果たした。復帰50年の歴史の中で、この結果をどう読み解けばいいのか。「沖縄現代史」などの著書のある櫻澤誠・大阪教育大准教授に聞いた。

 1978年生まれ。立命館大文学部助手などを経て、大阪教育大准教授。専門は日本近現代史。著書に「沖縄現代史」(中公新書)、共著に「戦後沖縄の政治と社会」(吉田書店)など。

 ――朝日新聞による出口調査では、投票にあたって一番重視したのは「基地問題」(34%)よりも「経済の活性化」(41%)でした。これまでならば、政権与党である自公が推薦した佐喜真氏に有利なはずです。それでも玉城氏が勝ちました。

 「従来のような『基地か経済か』の二者択一という保革対立の構図では、もう選挙が行われていないということです」

 「本土で『55年体制』が崩壊したあとも、沖縄では保革対立の構図が続きました。しかし翁長雄志氏が『オール沖縄』を掲げて当選した2014年の県知事選で、それは終わりました。もう保革対立の時代には戻らないと考えています」

「革新」支持層にも変化

 ――どういうことですか?

 「従来の保革対立では、たとえば日米安保米軍基地ならばオール・オア・ナッシング、容認するのか破棄撤去するのかというのが基本的な姿勢でした」

 「しかしオール沖縄運動は、日米安保はひとまず認めたうえで、在沖米海兵隊の縮小を求めるという県民多数の一致点を見いだした。その総意がいまも続いているということです」

 ――ですが、オール沖縄勢力からは、経済界などが次々と抜けました。14年や18年の知事選とは「オール沖縄」という言葉の内実が変わっています。両陣営の顔ぶれを見れば、再び保革対立に戻ったようにも見えますが。

 「顔ぶれが変わっているとい…

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