第3回航空兵の「まっすぐに生き抜いた幸せ」 突き動かされた二つの家族

有料記事ある航空兵の日記

城戸康秀

 陸軍パイロットが残した日記が、80年の歳月を経て故郷への帰還を果たした。

 茨城県常陸太田市の飯村武二さん(63)は、義父が妻に託した日記を手にし、その一日一日を2020年春から書き起こし、ブログで公開していた。

 日記の主である田上直亀は飯村さんの縁者ではなかったが、日記から伝わってくる人柄にほれ込み、いつか遺族に届けたいとブログでの公開を始めたのだ。

 すると1年半あまりたった22年1月、田上のめいだという熊本県荒尾市の塚本君子さん(74)から飯村さんに待望の連絡がきた。カナダに住む塚本さんの娘がネットの検索でブログを見つけたという。

 飯村さんと塚本さんの交流が始まり、新たな発見もあった。

弔辞につづられた壮絶な最期と「戦功」

 日記を保管していたのは飯村さんの義父(故人)。水戸市にある義父の実家に、かつて田上が下宿していたらしかった。

 飯村さんが、90代で健在の義父の兄に問い合わせてみると、軍服や飛行服姿の田上の写真が見つかった。

 塚本さんも写真を探した。実家の仏壇の引き出しに小さな箱があり、父の筆跡で「直亀 永久保存のこと」とあった。箱の中から、田上が戦地からの手紙や写真が出てきた。

 戦死した田上さんを悼み、同僚が捧げた「弔辞」も箱に納められていた。壮絶な最期の様子がつづられていた。

 1945年2月16日午前7…

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