原告意見陳述、全員はできず? 子ども甲状腺がん訴訟

核といのちを考える

編集委員・大月規義

 東京電力福島第一原発事故の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県に住んでいた17~28歳の男女6人が東電を相手に計約6億円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が7日、東京地裁であった。弁護団(井戸謙一団長)は記者会見で、原告の法廷での意見陳述は「年内限り」と地裁に指示されていることを明らかにした。

 7日の弁論で意見陳述したのは2人目。法廷に立ったのは原発事故当時6歳で、相双地方から避難した高校3年の女性(17)だった。13歳で甲状腺がんを発症し、手術したが、再発し17歳になって2度目の手術を受けた。「将来の夢もまだはっきりしないうちに全てが変わってしまった。恋愛も結婚も出産も、私とは縁のないものだと思っている」と法廷で涙ぐんだ。

 弁護団によると、原告全員が「裁判長に直接聞いてもらいたい」などと希望している。だが、年内の裁判は次回の11月だけで、全員が話すのは難しい見通しだ。井戸氏は会見で「裁判所は本人尋問もあるので意見陳述は年内で終わりたいというが、我々は原告本人に主張してほしいと考えている」と述べた。

 また、弁護団によると、東電側は①被曝(ひばく)放射線量が100ミリシーベルト以下では甲状腺がんにならない②原告らの被曝はせいぜい10ミリシーベルト以下③福島県民健康調査で確認されている甲状腺がんの症例は、原発事故が原因ではなく「潜在がん」などと反論しているという。

 井戸氏は「100ミリ以下でも甲状腺がんになるという論文はいくつもある。(旧ソ連の)チェルノブイリ原発事故では10ミリでも甲状腺がんは多数見つかっている」と話した。

 7日は、小学生のときに福島県の中通り地方に住み、甲状腺がんになった女性(20代)が6人と同様に提訴し、原告団に加わった。(編集委員・大月規義)…

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