ドナルド・キーンさんが愛した軽井沢 文豪と交流し、研究に没頭した

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滝沢隆史
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 世界に日本の文化や文学を広めた日本文学研究者のドナルド・キーンさん(1922~2019)は、長野県軽井沢町に小さな山荘を構えた。96歳で亡くなる直前まで半世紀以上にわたって夏を過ごし、研究に打ち込んだ。なぜ、キーンさんは軽井沢を研究の地に選んだのか。同町の軽井沢高原文庫で開催中の「生誕100年展」でその関わりをたどることができる。

「庵」と呼んだ小さな山荘

 キーンさんは、米ニューヨーク市生まれで、米コロンビア大在学中の18歳のとき、書店で「源氏物語」(アーサー・ウエーリ訳)を手に取り、日本の文化に興味を持った。

 戦後の1953年に京都大へ留学し、下宿先で後に文部大臣を務めた故・永井道雄さんと出会う。永井さんから中央公論社長の故・嶋中鵬二さんを紹介され、三島由紀夫川端康成ら多くの作家と親交を深めるようになり、さらに研究にのめり込んだ。

 永井さんはキーンさんを自身の軽井沢の別荘に何度か招待しており、キーンさんも軽井沢を気に入った。1年の半分を過ごす日本の拠点に京都や奈良、鎌倉も考えたようだが、65年、永井さんの別荘から5分ほど離れた場所に、10坪ほどの和風の山荘を建てた。当時の信濃毎日新聞の取材に答えている。

 「川端康成さんをはじめとす…

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