国葬「自治体や教委に弔意表明を要望しない」 永岡文科相

桑原紀彦
[PR]

 永岡桂子文部科学相は30日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬をめぐり、「自治体や教育委員会など関係機関に対する弔意表明の協力の要望を行うことはない」と述べた。

 政府は26日、関係機関に弔意表明を求める閣議了解を見送り、松野博一官房長官は同日の会見で、「国民一人ひとりに弔意を求めるものであるとの誤解を招かないため」と説明した。永岡文科相の発言はこれを受けたものだ。

 7月にあった安倍氏の葬儀の際には、東京都教委が255の都立学校に半旗の掲揚を促す事務連絡を出した。ほかにも安倍氏の地元の山口県や、大阪府吹田市などでも同様の通知や連絡が相次いだ。

 1967年10月にあった吉田茂元首相の国葬の際は、文部省(当時)は事前に各地の教委や大学に対し、当日の午後は授業を取りやめにする▽公の行事、儀式その他、歌舞音曲を伴うものは差し控える――などの形で弔意を表明するよう求める通達を出していた。(桑原紀彦)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2022年8月30日15時40分 投稿
    【解説】

    国葬儀で、自治体・教育委員会(学校・児童生徒)に弔意表明を要望しない、重要な方針です。 安倍元総理の葬儀の際には、仙台市や川崎市で学校丸投げの半旗要請がされ、学校現場の混乱を招きました。 自民党総裁でもあった安倍元総理に対する半

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    武田緑
    (学校DE&Iコンサルタント)
    2022年8月30日17時24分 投稿
    【視点】

    大臣が明確にコメントしたことは重要だと思います。 安倍氏への評価は国民の間でも大きく分かれるところであり、国葬そのものについても賛否が分かれる中で、自治体や教育委員会が学校に対して統一的な対応を求めることは、政治的中立性を損なわせかねませ

    …続きを読む