【動画】朝日歌壇選考の舞台裏 選者の見方は?暗黙の了解も

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佐々波幸子
【動画】朝日歌壇の舞台裏をのぞいた=原知恵子撮影
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 朝日新聞の毎週日曜朝刊に掲載される「朝日歌壇」の選者を務めているのは、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さんの4人。いずれも歌壇を代表するベテランの歌人だ。

 始まって100年以上になる朝日新聞の短歌投稿欄「朝日歌壇」。日々、どのぐらい投稿が寄せられるのか。入選作品をどのように選んでいるのか。舞台裏を紹介します。

 2週間に1回、朝日新聞東京本社の会議室で選歌会を開き、2週分の入選作品を選ぶのが長年のならわしだ。それぞれの机の上には、はがきの山が二つずつ。原稿用紙や鉛筆や消しゴムとともに、はがきをめくるのに欠かせない、紙めくりクリームも置かれている。

 週に2000~2500通の投稿はがきが届き、選者4人がすべての投稿に目を通す。投稿者は、未就学児から100歳超の高齢者まで幅広い。アメリカ、ドイツフランスなど海外からも寄せられる。

選者「いい歌は手が自然に止まる」

 朝日歌壇は1910(明治43)年、朝日新聞で校正係を務めていた石川啄木を初代選者に据えて始まった。戦後は斎藤茂吉らが選者を務め、55(昭和30)年には五島美代子、宮柊二、近藤芳美を迎え、複数の選者がそれぞれにすべての投稿に目を通して選ぶ「共選」方式が始まった。70(昭和45)年に大阪本社で選者をしていた前川佐美雄を加えて以来、4人の歌人による選歌を続けている。

 その時代を代表する歌人が市民の歌に向き合い、確かな目で選ぶ。共選方式はライバル意識が働くといい、「毎週、試験されているよう」と佐佐木さんは言う。

 掲載される入選歌は選者1人につき週10首ずつ。計40首が日曜日の紙面に並ぶ。選歌中は時に会話も弾むが、どの歌を選んだか、ということはいっさい口にしないのが暗黙の了解事項となっている。

 毎週のようにはがきを寄せる…

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