新焼却炉に272億円の「1社入札」 衛生組合の議会採決の行方は

小田健司
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 【福井】鯖江広域衛生施設組合(管理者・佐々木勝久鯖江市長)が、鯖江市と越前町のごみを受け入れる焼却施設(鯖江市西番町)の建て替えを計画している。だが、落札された新施設の建設費と維持管理費は272億円にのぼる。各市町の議員から選ばれる「組合議会」では費用が高すぎるなどとして疑問の声が出ており、25日に採決される契約関連議案の行方が注目される。

 組合は、鯖江市、越前町、福井市、池田町の2市2町で構成し、ごみ処理施設の運営などを行う。老朽化した焼却施設などを建て替えることになり、総合評価一般競争入札が21年10月に公告された。

 参加したのは荏原環境プラント(東京都)を代表企業とする1企業体だけで、建設後の運営や維持管理を含めた提案額は272億8千万円(税込み)。今年6月に開札され、同企業体による落札が決まった。

 だが、組合議会の議員の一部は、272億円のうち150億円超を占める建設工事費を問題視している。組合側が予定していた「設計価格」は132億円余りだったが、大きく上回る落札額になったからだ。

 その設計価格についても、費用の7割超を負担することになる鯖江市の市議会本会議で3月に詳細が明かされた。設計価格は当初の113億円から、一時は182億円に上がり、132億円に落ち着いたという。組合議会の議員の一部は、工事費の算定方法にも疑問を向けている。

 また、運営費を含めて272億円にのぼる契約が「1社入札」になったことも争点になっている。

 組合は入札説明書に、「競争性を確保し得ないと認めたときは、入札の執行を延期し、中止し、又は取り消すことがある」と明記している。しかし、今月18日にあった議会への説明会では、組合は、「1社入札でも競争性は担保されていると考えている」と説明し、手続きを進めたい意向を示したという。

 25日には鯖江市役所で組合議会が開かれ、建設工事の請負契約に関する議案が採決される。否決されれば手続きが止まるが、可決されても混乱が収まるかどうかは不透明だ。鯖江市議会には組合に拠出するための予算案の否決に動く可能性を示唆する議員もいる。

 朝日新聞は、入札について組合に文書で質問したが、組合は「組合議会への説明がまだつくされていない」として回答を拒否した。(小田健司)

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