文化庁、旧統一教会を9回聴取 元信者の提訴で2009年に取りやめ

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 宗教法人を所管する文化庁が「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に対し、1998年からの11年間で少なくとも9回聴取を実施し、「適正な管理運営」を求めていたことが朝日新聞が入手した裁判資料でわかった。教団をめぐり元信者から国が提訴されたことを理由に2009年に一転して聴取を取りやめていた。同庁は22日、結果的に教団への警戒が弱まったことを認めた。

 旧統一教会は97年に同庁に名称変更を相談。当時、担当の宗務課長だった前川喜平元文科事務次官は、霊感商法などが問題になっていたことから「正体隠しにつながる」とし、実態が変わっていないため認められないと拒絶していたと証言している。しかし、同庁は15年に名称変更を認めており、この間の対応が焦点になっている。

 朝日新聞は、元信者が教団側に献金の返還を求めて09年に起こした民事訴訟で国側が提出した、文化庁の担当課長名の報告書や準備書面を入手した。元信者は、献金をめぐる問題を抱えていた教団の活動を放置したと主張し、国にも賠償を求めていた。

 報告書などによると、聴取は教団の任意の協力を得て、98年1月~09年4月に少なくとも計9回行われていた。文化庁は「統一教会及びその信者による伝道活動、霊感商法、献金献身の強要等による被害」が指摘されているとして、「問題意識は、そのような指摘が出始めて以来、常に持っていた」と説明。「憲法上及び宗教法人法上許容される範囲内で統一教会に対する何らかの対応が必要である」などとした。

 献金問題をめぐり、97年の最高裁判決が教団の使用者責任を認めたことを踏まえ、「適正な管理運営や個別事案への誠実な対応」を「明示的に、強く求めてきた」ともある。

 ところが09年に一転、聴取を行わなくなった。その理由を「訴訟が提起されて以降は、無用の誤解を避けるため」とした。

 この裁判は14年に和解。和…

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