LRT、駅東口側来年8月全線開業 宇都宮市長が見通し

石原剛文
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 【栃木】開業時期が2度延期となっていた宇都宮市―芳賀町間の次世代型路面電車(LRT)について、宇都宮市は17日、2023年8月にJR宇都宮駅東口側路線を全線開業する見通しを明らかにした。計画・延伸検討区間となっていた駅西口側の路線についても、県教育会館付近までを整備区間とし、2030年代前半の開業を目指すことを決めた。

 同日開かれた市議会の議員協議会で佐藤栄一市長が説明した。LRTは当初の22年3月の開業予定が用地取得に時間がかかるなどして延期となり、その後、工事の遅れが原因で23年3月の開業も延期となった。工事が遅れた期間に加え、試運転などを慎重に進めるため、国の助言のもと開業時期を5カ月遅れの8月に決めたという。

 2度目の開業延期に伴い、駅東口路線は工事完了区間の部分開業も検討されていた。しかし、全線開業に向けた試運転や習熟運転などを並行して実施した場合、全線開業の時期が8月よりもさらに遅れる可能性があることから見送りとした。また、運行会社「宇都宮ライトレール」の人件費などの開業前経費は約2億円増える見通しで、同市と芳賀町で負担するという。

 JR宇都宮駅を高架で横断し、西口側を走る路線については、これまでは桜通り十文字付近までが計画区間、大谷観光地付近までが延伸検討区間となっていた。今回、県教育会館付近までの区間(宇都宮駅東口停留場から約5キロ)が整備区間となり、26年中の工事着手、30年代前半の開業を目指す。概算事業費は約400億円の見通しとなっている。

 開業が予定より5カ月遅れることについて、佐藤市長は報道陣の取材に「期待されていた方々にご迷惑をおかけした。しっかりと8月には運行開始できるように全職員一丸となって進めてまいりたい」と陳謝。駅西口側の整備を県教育会館付近までとしたことについては「人口密度が高く、文教施設などがそろっている。生活の利便性が格段に上がっていくと思う」と説明した。

 LRTは1編成3両で、停留場で乗り降りする際の段差がないのが特徴。JR宇都宮駅東口側の路線は、芳賀・高根沢工業団地までの14・6キロを約44分間(快速は約38分間)で結ぶ。

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この記事を書いた人
石原剛文
宇都宮総局
専門・関心分野
教育、コミュニケーション