第1回逮捕された電通元専務、自ら話した力の源泉 五輪組織委の裏で何が
「唯一無二の存在」「ゼロから一を作り出した人」「フィクサー」――。
東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定などをめぐり、東京地検特捜部が17日、受託収賄容疑で逮捕した大会組織委員会元理事で電通元専務の高橋治之容疑者(78)。彼を知る人たちは、スポーツ界での存在感を口々にそう評する。
高橋元理事は慶応大学卒業後、1967年に電通に入社。同社のスポーツビジネス拡大に寄与した中心的存在だ。
77年、「サッカーの神様」と呼ばれたペレの日本での引退試合をプロデュース。スポンサーのCMで試合を宣伝してもらう手法を考案し、サッカーが集客に苦しむ時代に、国立競技場を大観衆で埋めた。
五輪との関わりは、84年ロサンゼルス大会から。民間資金の活用で黒字を生み、商業五輪の先駆けとなった大会で、日本企業のスポンサー入りを仲介した。国際オリンピック委員会(IOC)の中でもその名が知られるようになる。
連載「五輪の闇」(全2回)はこちら
電通元専務で、東京五輪・パラリンピックの大会運営を担った組織委員会の元理事らが汚職の疑いで逮捕された。ブラックボックスと称される巨額の五輪マネーの「闇」を、検察はどこまで解明できるのか。
サッカーW杯、世界陸上、米大リーグ。世界中の人々が熱狂する巨大イベントに関わり、世界のスポーツビジネスの要人との関係を深めていった。電通内でも局長、常務、専務と要職を歴任し、存在感を増していった。
高橋元理事の力の源泉は何か。それを示す逸話がある。
国際サッカー連盟(FIFA…