旧海軍掩体を米子市史跡に 戦争伝える文化財は県内初

渡辺翔太郎
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 鳥取県米子市の文化財保護審議会は、旧海軍美保航空隊の飛行機用掩体(えんたい)1基と、湊山公園で野外展示されているD51形蒸気機関車を市の文化財に指定するよう答申した。市によると、掩体のような近代の戦争の歴史を伝える戦跡を文化財として指定するのは、県内では初という。

 同市大篠津町にある掩体は、太平洋戦争末期に敵の爆撃から飛行機を隠し格納するための施設。当時は60基以上あったとされるが、いま残っているのは5基だけという。

 今回、このうちの1基を市の史跡(戦跡)に指定する。飛行機を入れる開口部の幅が約14メートル、奥行きは約6・5メートルで、かまぼこのような形をしたコンクリート製。旧海軍の艦上爆撃機・彗星(すいせい)といった単発固定中翼機の格納のために造られたという。

 市によると、掩体は本土空襲が激化するなかで全国に1千基以上も造られたとされるが、痕跡を含めて現存が確認できるのは100基程度という。旧海軍美保航空隊の5基は、現存数として全国的にみても多く、戦争の歴史を伝える近代化遺産(戦跡・戦争遺産)として貴重という。

 一方、同市西町の湊山公園に展示されているD51は1939年に埼玉県内の工場で製造され、東北地方で運行。73年に米子に配属された後、まもなく廃車になり、1976年から公園で展示されている。交通の近代化を支えた蒸気機関車の代表例という。

 市文化振興課によると、今回の2件が指定されると、市文化財は計35件になる。

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この記事を書いた人
渡辺翔太郎
岡山総局員|警察司法・大学・気象担当
専門・関心分野
地域の話題、環境