「日本一貧乏な観光列車」が走る 社員が奮闘 「いさ鉄」の灯守れ!
編集委員・堀篭俊材
現場へ! ローカル線のあした⑤
カラン、カラン、カラン。
ハンドベルが鳴り、1両だけの観光列車「ながまれ海峡号」がJR函館駅(北海道函館市)から滑り出した。
すぐ近くに、観光列車を運行する「道南いさりび鉄道」の本社がある。その前にさしかかると、「行ってらっしゃい」と書かれた横断幕を掲げ、制服姿の川越英雄社長(65)ら社員7人が乗客を見送る姿が見えた。
「ローカルだねえ」。乗客から歓声と拍手がわきおこった。
日本一貧乏な観光列車――。「のんびりして」を意味する道南地方の言葉「ながまれ」を冠する列車はそう呼ばれる。
ふだん使っている車両を観光…