琵琶湖のなぞ ベルリンで発表 中高生2人

茶井祐輝
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 「琵琶湖マイクロプラスチックは?」「ミジンコと温暖化に関係が?」――。琵琶湖についてのそんな疑問を研究している中高生2人が10日、ドイツベルリンである国際陸水学会で成果を発表する。1人は初めての海外渡航で、もう1人は2回目の発表。2人とも英語で議論しようと意気込んでいる。

 発表するのは立命館守山高校(滋賀県守山市)3年の君付(きみつき)茉優(まゆ)さん(17)と、京都府立洛北高校付属中学(京都市左京区)3年の森本莉久(りく)さん(14)。

 2人はNPO法人「びわ湖トラスト」(大津市)が行う「ジュニアドクター育成塾」の参加者だ。育成塾で大学教員らから湖沼学の基礎を学び、NPOの実験調査船「はっけん号」に乗って琵琶湖各地で試料を集めた。2人とも研究や生物が好きで、母親から勧められたのがきっかけだった。

 ウェブサイトによると、国際陸水学会のメンバーは、70の国々の学生や研究者ら。びわ湖トラストの事務局長を務める熊谷道夫・立命館大学客員教授もその一人で、育成塾で長く研究を続ける2人の発表を学会に提案した。

 君付さんは、約3年かけて琵琶湖各地のマイクロプラスチックの大きさや量を比較した。その結果、大津市と守山市を結ぶ琵琶湖大橋の南側にあたる南湖では、北湖に比べて1ミリ未満のものが2・6倍あった。一方、1ミリ以上のものは北湖の方が2・8倍あったという。

 熊谷客員教授によると、北湖の水の滞留時間は5・5年だが、南湖は15日。流入する河川の大部分が北湖に集中しているため、君付さんは「河川から北湖にマイクロプラスチックが流れ込み、分解されて南湖に行き着いた」と推測する。

 君付さんは英語が得意な兄の影響を受け、中学3年生で英検準1級を取得。国際陸水学会に参加するのは2018年に続いて2回目。会場は中国で、英語での議論が白熱していたのが印象に残っているという。「英語できちんと議論できるようにしたい」と話す。

 森本さんは、琵琶湖でミジンコを採集した。その結果、夏になると湖底のミジンコがいなくなることがわかったという。温暖化の影響で湖底の酸素濃度が下がることで、「呼吸できなくなったミジンコがいなくなった」と森本さんは推測した。

 熊谷客員教授によると、琵琶湖は外気に冷やされた表面の水が重くなって沈むことで、湖底の水と循環が起きている。表面の水には酸素が多く含まれる。温暖化で表面の水の温度が下がらず、循環しない期間が長くなり、湖底の酸素濃度が低下しているという。

 森本さんにとって、ドイツは初の海外。英語塾に通っている。「(ドイツ名物の)ソーセージを食べたいです」と笑顔を見せつつ、「英語で質問がきたらきちんと答えたい」と意気込んでいる。(茶井祐輝)

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