政府新設のBA.5対策宣言「やってもしょうがない」 和歌山県知事

高田純一
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 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、政府が新設した「BA.5対策強化宣言」について、和歌山県仁坂吉伸知事は4日、定例の記者会見で宣言を発出しない方針を明らかにした。

 仁坂知事はこの日の記者会見で「知事会でもどんなことをしてくれるのかと期待していたが、政府の専門家の方が和歌山に来るだけなので、はっきり言うと何の役にも立たないので宣言はしません」と切り捨てた。

 宣言は、病床使用率が50%を超えるなどした都道府県の知事が発出するもので、宣言すれば国が強化地域と位置づけ、政府職員の派遣や対策の助言などを行う。しかし、コロナ特措法に基づく「まん延防止等重点措置」のように飲食店の時短営業などの罰則を伴う私権制限はない。あくまで住民や事業者への「協力要請」にとどまる。

 7月21日以降、県内の1日あたりの新規感染者数は1千人超えが相次ぎ、病床使用率は今月4日時点で69・8%に達している。これに対し、仁坂知事は「現在、医師会が献身的に取り組み、医療関係者が休日出勤で無理をしている。コロナ患者(が増えたこと)で別の病棟にしわ寄せもきているところがたくさんある」と危機感を口にした。そのうえで、宣言しない理由について「外部委託をして保健所の機能を楽にさせるためのお金をたくさんあげるから宣言してほしいと言えば喜んでするが、(そういうものではないため)やってもしょうがない」と話した。

 また、宣言下で県民に要請できる内容として国が示したのは、「3密」の回避、ワクチン接種の促進などで、これまでに何度もお願いしてきたものばかりだという。

 県としては、お盆の時期にふるさとへ帰省するのを自粛するように求めることなどはしないという。「旅行や飲食を規制し、抑えればうつらないということは言えず、全面的に注意をしなければならない。旅行だって気をつけてすればいいし、飲食だけ目の敵にするわけにはいかない」と語った。

 県は、8月の土日祝日のほか、12、15、16日のお盆の時期にコロナの診療や検査に対応してくれる医療機関を募っている。3日現在、106カ所の医療機関で休日の開設を見込んでいるが、さらに増やしたい考え。開設が決まっている医療機関の診療時間などの詳細は5日から随時、県のホームページで公表する。(高田純一)

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