自らハードル上げて怒る中国 制裁の矛先は台湾に 川島真教授に聞く
ペロシ米下院議長が台湾を訪問しました。中国は台湾周辺での軍事演習を実施するなど、威嚇の動きを強めています。
中国はどんな論理をもとに、こうした行動に出ているのか。
立法府には口出さず
――ペロシ氏の台湾訪問に対し、中国はなぜここまで強烈な反応を示しているのでしょうか。
中国の習近平(シー・チンピン)政権が台湾問題をめぐって、許容できることのハードルを上げたことが一つの理由です。民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権が「台湾独立を目指している」と定義し、蔡政権に歩み寄ったり寄り添ったりする動きをすべて批判するようになりました。
従来は認めていたはずの立法府どうしの交流、ここにはアメリカ下院議長の訪台も含まれますが、それを批判するのが、まさにこの動きにあたります。自分自身が上げたハードルに基づいて「怒って」いるといえます。
米国は「一つの中国政策」に変化はないと繰り返してきました。「中国は世界に一つしかなく、中華人民共和国はその中国を代表する唯一の合法政府である」という中国の主張を受け入れるものの、「台湾は中国の不可分の一部である」という主張については「認識(acknowledge)」しているという立場です。
米国と台湾には外交関係がないため、大統領や国務長官は訪問しない一方、議員交流が続いてきました。議員どうしが交流してきたのは、日本も同じです。
25年前にも米国のギングリッチ下院議長が数時間ではありますが、台湾を訪問した事例があります。米国としては、従来通りのラインで対応しているのです。議員外交で、最高位の議員が台湾を訪問する。ホワイトハウスや行政府は立法府のやっていることに口を出さない、というスタンスです。
共産党大会の影響は
――今秋、中国では5年に1…
- 【視点】
川島氏いわく「[中国は]自分自身が上げたハードルに基づいて「怒って」いる」。。。その通りと思う。 どういうわけか、ペロシ氏が緊張を高めたということになっている。しかし、インタビューにもある通り、立法府同士の交流は北京も認めていた。北京
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