函館線、大部分が廃線濃厚 新幹線アクセス以外は不透明 貨物も分断

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編集委員・堀篭俊材 阿部浩明 新田哲史
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 2030年度の北海道新幹線札幌延伸で、JR北海道から分離される函館線(函館―長万部間、約148キロ)の存廃を議論する沿線自治体の協議会が31日、北海道函館市であった。函館市の工藤寿樹市長は、同区間のうち函館―新函館北斗(約18キロ)を第三セクターで存続させたい考えを表明。他の首長からも異論は出なかった。一方で新函館北斗―長万部間は廃止・バス転換の可能性が高まった。同区間は道内外を結ぶ貨物列車が走る物流の大動脈で廃止の影響は大きく、道や国の対応が焦点となる。(編集委員・堀篭俊材、阿部浩明、新田哲史)

 北海道と函館―長万部間の沿線7市町(函館市、北斗市七飯町、鹿部町、森町、八雲町、長万部町)でつくる協議会はこれまでに、①三セクによる全線維持②全線廃線・バス転換③函館―新函館北斗間は鉄路維持、他はバス転換の三つの選択肢を示していた。

 約1年4カ月ぶりとなった31日の協議会では、各首長の姿勢が鮮明になった。

 函館市の工藤市長は「今の収支予測では(全線を)三セクで運行するのは厳しい」とし、「(新幹線アクセス列車の)『はこだてライナー』は存続をお願いしたい」と函館―新函館北斗間の鉄路維持を求めた。同区間については「インバウンド訪日客)が戻れば収支の改善が見込める」とも語った。

 北斗市の池田達雄市長も「ライナーは残してほしい」と同調。七飯町の杉原太町長は「観光需要があり、引き続きやっていければいい」と述べた。

 函館―新函館北斗間の維持に反対の声はなかったが、全線維持は厳しい収支から慎重論が目立った。

 また、仮に三セクで全線を維持する場合も、旅客輸送にはほとんど使用されず、主に貨物が使う下り列車用の藤城線(七飯―大沼、13・2キロ)と、今年度末にJR北が廃止する車両検査用の五稜郭車両所(函館市)は継承しない方針が事実上、了承された。

 藤城線は1966年、七飯―大沼間の複線化で輸送力を高め、急勾配の「仁山回り」を避けるバイパスとしてつくられた。旅客利用は少なく、重量のある貨物列車が利用の主体だ。

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