死亡保険「生前に買いとります」 元金融庁官僚が目指す保険の使い道

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小出大貴
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 死亡保険を契約者から生前に買い取る――。日本ではなじみのない保険ビジネスを金融庁の元官僚が今春、始めた。欧米では資金が必要な時に自分にかけた保険を売るのは一般的で、「契約者の選択肢を増やしたい」と国内でも新しい市場をつくることをめざす。ただ、事業には様々な課題もあり、ルール整備などの必要性も訴えている。

 元官僚は、金融庁で保険行政を中心に担当していた我妻佳祐さん(41)。2019年に金融庁を退職した後、「ライフシオン」を設立し、今年4月に買い取り事業を始めた。

 事業は、死亡時に保険金が支払われる死亡保険の価値を、契約者の病状をもとに評価し、買い取るというものだ。今は死亡保険の契約者が、生前に大きなお金が必要になった場合、途中で解約し、「解約返戻金」を受け取ることしか選択肢がない。この返戻金の額は、亡くなったときにもらえる保険金と比べ、かなり少なくなる。

 買い取り事業はそこに目をつけた。我妻さんは「生活費や医療費のために今すぐお金が必要だとか、死後にお金を残すよりは生前に使いたいと思ったときに、低い返戻金しか選べない状況は顧客にとって不自由。ここに新たな選択肢を加えたい」と話す。

 買い取り価格は、契約者の健康状態から計算する。病状が重たい人ほど、短期間で保険金が支払われる可能性が高いため、買い取り価格を高くする仕組みになっている。

 例えば、1千万円の死亡保険…

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