内閣法制局から報告「それなら国葬で」 岸田首相、急な決定の舞台裏

有料記事国葬

西村圭史 小手川太朗 楢崎貴司
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 岸田文雄首相は22日、安倍晋三元首相を55年ぶりの国葬で弔うことを、閣議決定した。首相が国葬を決断したのは、勝利した参院選の直後だった。国葬の基準や法的根拠があいまいなままの決定に、賛否は割れている。

 「国葬に近い形でできないか」。安倍氏が死去した数日後、首相は安倍氏の国葬を検討するよう、周辺に指示した。安倍氏の家族葬が都内の寺院で営まれ、自民党本部などの献花台には行列ができていた。

 歴代首相経験者の葬儀は、1980年に死去した大平正芳氏以降は「内閣・自民党合同葬」が慣例。だが、首相は、安倍氏が歴代最長の8年8カ月にわたり首相を務めたことや、遊説中に凶弾に倒れたことを重視。「今までの首相経験者とは違う形で評価すべきだ」との思いに傾いた。

「訴訟のリスクある」慎重論あったが

 首相の指示を受け、国葬に向けた政府の検討が始まった。ただ、国葬を定めた法律は、ない。全額国費でまかなうことに、政府内には「行政訴訟のリスクがある」との慎重論もあった。

 そこへ、内閣法制局からの報…

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    中野円佳
    (ジャーナリスト)
    2022年7月22日23時17分 投稿
    【視点】

    この話はそもそも安倍元首相の評価が割れていることと、決定のプロセスの問題と2つの論点があると思います。 前者については「憲政史上最長の首相であることや、選挙遊説中に銃撃を受けて亡くなったこと、国内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられて

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    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2022年7月23日8時15分 投稿
    【視点】

     「国葬」とはどのようなものかが曖昧な中、議論の整理が必要ではないかと思います。他にもあるかもしれませんが、さしあたり、①政府が特定政治家を顕彰することの是非、②法的根拠、③予算、④国民への影響、といった論点に分解してみたいと思います。

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