「3分で乗り換え」順調? 西九州新幹線 開業控え実験
9月23日の開業まで約2カ月となった西九州新幹線(長崎―武雄温泉)。新幹線と在来線特急を乗り換える駅になるJR武雄温泉駅(佐賀県武雄市)で20日、同じホームに向かい合って停車する車両に乗り換える「対面乗り換え」のシミュレーションがあった。JR九州が社員約300人を乗客役にして、最短3分と見込む乗り換え時間内に車両間をスムーズに移動できるかを確かめた。
新幹線はN700Sかもめ(6両編成)、特急は885系リレーかもめ(6両編成)と787系リレーかもめ(8両編成)を使用。10番乗り場に特急が出入りし、11番乗り場の新幹線と特急の間を客が往復した。
ホームの幅は約10メートル、成人男性の歩幅で15歩前後。社員らはキャリーカートや旅行カバンなどを携えて整然と車両間を移動した。
開業時のダイヤでは、武雄温泉駅で1日上下計44本の対面乗り換えがあるという。基本的には直近の車両への移動だったが、車いすに対応した車両の位置が特急と新幹線では異なるため、特に787系のシミュレーションでは車いすの社員の移動距離が比較的長くなっていた。物理的な改善は難しいという。
今泉康彦・JR九州新幹線開業準備室副室長は「おおむね3分以内で乗り換えられたのでは。社員へのアンケートでも改善点を集約したい」。乗客役を務めた同社旅行課の辻村翔さんは「社員ではなく一般のお客様が入られた際、乗り換える号車がわかりにくいかなという印象を持った。(表示を)足元だったり上からつるしたりすればもう少し分かりやすくなるかなと感じました」と話した。
新幹線と在来線特急の対面乗り換えは、JR九州の九州新幹線(博多―鹿児島中央)が部分開業した2004年3月から全線開業の11年3月まで、新八代駅で行われた実績がある。
西九州新幹線では今のところ、指定席の切符については原則、車両と座席番号を新幹線と在来線で共通化して利用者に分かりやすくする考えという。
武雄温泉―新鳥栖間については、乗り換えなしで博多までつながる「フル規格」を望むJR九州、国、長崎県と、在来線の活用を基本とする佐賀県の間で、整備の有無も含め調整がついておらず、武雄温泉駅での対面乗り換えも解消の見通しが立っていない。