リニア駅シャトルバス、高架下を使えるのは「3割程度」
【山梨】甲府市大津町に建設予定のリニア中央新幹線の駅とJR身延線の最寄り駅を結ぶシャトルバスのルートについて、県が検討していたリニア本線の高架下の緩衝帯は3割程度しか使えないことが15日、県の「リニア駅前エリア整備検討会議」の初会合で明らかにされた。県は今後「現実的なルート」を検討するとしている。
シャトルバス構想は2019年に長崎幸太郎知事が打ち出した。長崎知事はリニア駅と身延線のアクセスを重視。甲府市大津町に決まっていたリニア駅の位置の再検証を進めた。最終的に当初からの予定地に落ち着いたが、代わりに、身延線の小井川駅(中央市)とシャトルバスで結ぶ構想を打ち出した経緯がある。
小井川駅はリニア本線と身延線の交差地点に近く、リニア駅予定地からは約3キロの距離にある。長崎知事はシャトルバス専用道の整備に意欲を示し、県が20年3月にまとめた構想「リニアやまなしビジョン」には、「リニア本線用地の緩衝帯を利用した専用道の整備も含めて検討する」と明記された。
だが、15日の会議では、リニアの橋脚の構造上、緩衝帯のない区間があることや、高架下の道路の歩道付け替えによって、一部しか利用できない区間があることが判明し、約3キロの区間のうち、緩衝帯を利用できるのは3割程度に限られると説明された。
この状況を踏まえ、県は「現実的なルートと交通システム、整備・運営手法について検討を進める」と説明している。
検討会議は県が今年度設置した。リニア駅前区域の整備の方向性をまとめた20年度の「在り方検討会議」以来、約1年ぶりの会議設置となった。今後1年間かけて、駅前区域の基本計画や小井川駅までのルートを検討するとしている。