静岡工区めぐりJR東海が意見つのる

床並浩一
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 リニア中央新幹線静岡工区で懸念されている大井川の水資源対策をめぐり、JR東海が市民の意見を募り始めた。流域外の住民も対象で、特定事業について民意に直接耳を傾けるのは異例だ。着工のめどがたたないなか、事態打開につなげる狙いもあるとみられる。

 4月の県専門家会議で、JR東海はトンネル工事で県外に流出する湧水(ゆうすい)量と同量を大井川に戻す「全量戻し案」として、山梨県側のトンネル湧水をくみ上げて戻す案(A案)と大井川の水を取り込む田代ダムの発電取水量を抑えて流量の維持を図る案(B案)を提示。工事期間中にすべての湧水を戻すよう求める県は「全量戻しにあたらない」(川勝平太知事)と慎重な姿勢を示すが、島田市長ら流域地域の首長にはB案を解決案として一定程度評価する声もある。

 JR東海はこれまでに、静岡駅や焼津、掛川駅などに意見募集の案内チラシを配置。チラシではリニア事業の必要性に加え、南アルプストンネル建設について「地域の心配の声を受け止め、不安払拭(ふっしょく)に真摯(しんし)に取り組む」と記している。

 意見や質問は静岡工事事務所(054・685・1452、土日祝日を除く)へ。ホームページ経由で電子メールでも受け付ける。

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